はじめに
IT業界を見ていると、まず混乱しやすいのが「会社の種類が多すぎて、どこが上位なのか分かりにくい」という点です。
しかも、IT業界のTier表は企業数が少なかったり、外資IT・大手SIer・Web系・SaaSが雑に並べられていたりして、実態より粗いものも少なくありません。
そこで本記事では、IT業界で比較されやすい主要企業をできるだけ広く拾い、整理しました。
そもそもIT業界は何が違うのか
IT業界に興味を持つと気になるのはどこが上位かではないでしょうか。
ただIT業界はひとまとめに見られがちですが、実際は「顧客」「作るもの」「価値の出し方」がかなり違います。
そのため、同じIT企業でも働き方や求められる力は大きく変わります。
代表的なのが、SIerとWeb系の違いです。
- SIer:企業向けにシステムを作る
- Web系:一般ユーザー向けに自社サービスを伸ばす
この違いをもう少し噛み砕くと、見るべきポイントは次の3つです。
- 誰に向けた仕事か
SIerは法人向け、Web系は一般ユーザー向けが中心です。 - 何を作るか
SIerは基幹システムや業務システム、Web系はアプリやWebサービスが中心です。 - どう価値を出すか
SIerは顧客の課題解決、Web系はサービス改善やユーザー拡大で価値を出します。
つまり、同じIT業界でも中身はかなり違います。
「IT企業に行きたい」だけでは解像度が足りず、どの業態を指しているのかまで見ないとズレやすいということです。
ただし、仕事内容が違うからといって、就活や転職で別物として扱われるわけではありません。
実際の市場では、外資IT・SIer・Web系・SaaSまでまとめて比較されることが多く、採用難易度、ブランド力、年収、人気といった軸で同じ土俵に載せて見られています。
要するに、IT業界は中身はバラバラでも、市場では横並びで比較される業界です。
まずはこの前提を押さえることが、企業選びやTier表を見るうえでの出発点になります。
IT業界Tier表【2026年版・偏差値目安つき】
Sランク(偏差値70〜73)
- Google:73前後
- 日本Microsoft:71前後
- Appleジャパン:70〜71前後
- AWSジャパン:69〜70前後
上位4社は、複数の公開ランキングで一貫して最上位帯に入っています。企業分析ニキでは Google 73、Microsoft 71、AWS 70、就職偏差値.comでは Google・Microsoft・Apple が 70、Digmedia でも Google・Apple・Microsoft・AWS は最上位帯です。
A+ランク(偏差値68〜69)
- Amazonジャパン:69前後
- 日本オラクル:69前後
- Salesforce日本法人:66〜69前後
- SAPジャパン:67〜69前後
- Cisco日本法人:69〜70前後
- Meta日本法人:68〜69前後
- VMware:69前後
- Preferred Networks:68〜69前後
- ジャストシステム:68〜69前後
- NTTドコモ:68〜69前後
- KDDI:68〜69前後
- NTT(持株/グループ上位評価帯):68〜69前後
この層は、外資Big Techの直下に置かれやすい企業群です。就職偏差値.comでは Oracle、Amazon、AWS、Cisco、SAP、Salesforce、VMware が 69 帯に並び、Digmedia でも Amazon、Meta、AWS、Oracle、SAP、KDDI、ドコモなどが高位に置かれています。
Aランク(偏差値66〜67)
- NTTデータ:68〜70前後
- 日立製作所:67〜68前後
- オービック:67〜71前後
- 日本IBM:66〜67前後
- 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC):66〜67前後
- 電通総研:67前後
- メルカリ:67前後
- エムスリー:67前後
- 日本ヒューレット・パッカード / HPE:66〜67前後
- 日鉄ソリューションズ:66〜67前後
- トレンドマイクロ:66〜67前後
- NTT東日本:66〜67前後
- NTT西日本:66〜67前後
- ソフトバンク:66〜67前後
- 野村総合研究所(IT寄り評価時):67〜69前後
この層が、上位SIer・高収益ITサービス・一部強いWeb企業の中心です。Digmediaでは NTTデータ、日立、オービック、日本IBM、CTC、電通総研、メルカリ、エムスリーが高位にまとまり、就職偏差値.comでも近い位置に並びます。特にNTTデータは、みん就の2026年卒IT業界人気ランキングで16年連続1位とされており、難易度だけでなく人気面でも別格です。
B+ランク(偏差値64〜65)
- 富士通:64〜67前後
- NEC:64〜66前後
- LINEヤフー:64〜66前後
- DeNA:64〜66前後
- サイバーエージェント:64〜66前後
- 楽天グループ:64〜65前後
- SCSK:64〜65前後
- TIS:63〜65前後
- NTTコムウェア:65前後
- 日立システムズ:65前後
- BIPROGY:64〜65前後
- JSOL:64前後
- GMOペイメントゲートウェイ:65前後
- みずほリサーチ&テクノロジーズ:64〜65前後
- Dell Technologies:64〜65前後
- Sky:64前後
- ネットワンシステムズ:64前後
- 兼松エレクトロニクス:64前後
- オージス総研:64前後
- コベルコシステム:64前後
- NECネッツエスアイ:64前後
- NTTデータアイ:65前後
ここが本命ボリュームゾーンです。Digmedia、就職偏差値.com、企業分析ニキを突き合わせると、富士通、NEC、LINEヤフー、DeNA、サイバー、楽天、SCSK、TISあたりはこのレンジに集中します。さらに、みん就人気ランキングでは富士通が2位、SCSKが3位に入っており、人気企業としても非常に強い層です。
Bランク(偏差値62〜63)
- ZOZO:62〜63前後
- カカクコム:62〜63前後
- Sansan:62〜63前後
- サイボウズ:62前後
- GMOインターネットグループ:62〜63前後
- MIXI:62〜63前後
- クックパッド:62〜63前後
- ポケモン:63前後
- コナミ:63前後
- インフォコム:63前後
- JFEシステムズ:62〜63前後
- NECソリューションイノベータ:62前後
- トヨタシステムズ:62前後
- 富士通エフサス:62前後
- 三菱総研DCS:62前後
- オービックビジネスコンサルタント:62前後
- サイバネットシステム:62前後
- グノシー:62前後
- YE DIGITAL:62前後
- 中電シーティーアイ:62前後
- 日本証券テクノロジー:62前後
- 大塚商会:62〜64前後
この層は、中堅以上のSIer/ITサービスと、上場Web・SaaS・ネット企業が重なる帯です。就職偏差値.comでは ZOZO、カカクコム、Sansan、GMO、クックパッド、グノシー、トヨタシステムズ、三菱総研DCS などが 62〜63 帯に集まり、Digmediaでもポケモン、コナミ、Sansan、サイボウズ、GMO などがこの近辺です。
Cランク(偏差値60〜61)
- SmartHR:60〜61前後
- マネーフォワード:60〜61前後
- freee:59〜60前後
- ウェザーニューズ:60〜61前後
- ドワンゴ:60前後
- PayPay:60前後
- 楽天モバイル:60前後
- SHIFT:60〜61前後
- HENNGE:60〜61前後
- MonotaRO:60〜61前後
- ミロク情報サービス:60前後
- キヤノンITソリューションズ:60前後
- SBテクノロジー:60前後
- NTTデータCCS:60前後
- 鉄道情報システム:60前後
- 農中情報システム:60前後
- 菱友システムズ:60前後
- 三井情報:60前後
- MS&ADシステムズ:60前後
この層は、SaaSや専門IT企業として魅力は強いが、偏差値表では最上位までは行かない企業群です。企業分析ニキでは freee 53、Sansan 57、Digmedia では PayPay や楽天モバイルが 56〜57、就職偏差値.comでは SmartHR、マネーフォワード、SHIFT、HENNGE などが 60〜61 帯で確認できます。
このTier表について
一番重要なのは、上位の骨格が複数ベンチマークでかなり一致していることです。
Digmediaでは Google、Apple、Microsoft、AWS、Amazon、Meta、Oracle、SAP、Salesforce が上位に並び、就職偏差値.comでも Google、Microsoft、Apple、Oracle、Amazon、AWS、Cisco、SAP、Salesforce が高位です。企業分析ニキでも Google、Microsoft、AWS、Cisco が上位で、NTTデータ、日本IBM、富士通、DeNA、LINEヤフー、Sansan、freeeといった主要どころの位置関係も大きくはズレていません。
また、人気ランキングを入れると、大手SIerが想像以上に強いことも見えてきます。
みん就の2026年卒IT業界人気ランキングでは、NTTデータが1位、富士通が2位、SCSKが3位で、CTCやSkyも上位に入ります。つまり、Web系だから上、SIerだから下という単純な見方ではなく、就活市場では大手SIerが非常に強いという補正が必要です。
なぜ「SIerは全部下」とは言えないのか
SIerとWeb系は、そもそも役割が違います。
レバテックは、SIerは企業向けの課題解決を目的に計画的に開発し、Web系は一般ユーザー向けに自社サービスを改善し続けるのが中心だと整理しています。仕事内容が違う以上、単純な上下比較だけでは見誤ります。
それでも就活市場では、上位SIerは普通に強いです。
NTTデータ、日立、オービック、CTC、日本IBM、SCSKのような企業は、偏差値・人気・知名度・研修制度・案件規模で高く評価されやすく、公開ランキングでも上位に並びます。したがって、「Web系の方が全部上」という理解は、少なくとも就活・転職市場の見え方とは一致しません。
SaaSはなぜ評価が割れやすいのか
SaaS企業は、事業の伸びと就職偏差値がズレやすい領域です。
たとえばSansan、マネーフォワード、freeeは国内SaaSの有力企業ですが、公開偏差値表では外資ITや上位SIerほどの位置には置かれない一方、成長性やプロダクト志向では非常に魅力があります。SaaS売上ランキング系の記事でも、Sansanやマネーフォワードは国内上位群として扱われています。
つまり、Tierが低いから魅力が低いわけではありません。
SaaSは、安定・規模・新卒人気よりも、プロダクト成長や裁量、将来の伸びで評価されることが多いからです。就活偏差値だけで見ると過小評価しやすい領域です。
どのTierを狙うべきか
ブランドや市場評価を最優先するなら、まずはS〜A+が目標です。
ただし、この層は採用難易度がかなり高く、そもそも枠も少ないため、現実的な比較対象としてはA〜B+が中心になります。特にNTTデータ、日立、オービック、CTC、富士通、SCSK、LINEヤフー、DeNA、楽天あたりは、知名度、企業規模、選考対象者数のバランスがよく、実際に多くの学生が比較する企業群です。
一方で、プロダクト志向や成長性を重視するなら、B〜C帯のSaaSやWeb系も十分有力です。
Sansan、SmartHR、マネーフォワード、freee、サイボウズ、ZOZO、カカクコムのような企業は、偏差値だけで見ると最上位ではなくても、仕事内容やキャリアの方向性では大手SIerより合う人も多いはずです。
まとめ
2026年時点で、コンサルを除いたIT業界のTier表を違和感少なく作るなら、骨格は次の通りです。
Sは Google・Microsoft・Apple・AWS、A+は Amazon・Oracle・Salesforce・SAP・Cisco・Meta、Aは NTTデータ・日立・オービック・日本IBM・CTC・電通総研・メルカリ・エムスリー、B+は 富士通・NEC・LINEヤフー・DeNA・サイバー・楽天・SCSK・TIS、B〜Cに Sansan・サイボウズ・ZOZO・SmartHR・マネーフォワード・freee などが続く、という形です。
この手の記事で一番やってはいけないのは、企業数を絞りすぎることと、SIerかWeb系かだけで雑に上下を決めることです。
実際の市場では、外資IT、上位SIer、国内Web、SaaSはそれぞれ別の強さを持っており、公開ベンチマークでもその差がかなりはっきり出ています。まずはこのTier表で全体の序列感をつかみ、そのうえで志望先を個別比較していくのが、一番失敗しにくい見方です。


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